新しいビザに切り替える為に、上海に帰った。今は実家の自室でこの投稿を書いている。つい先日まで、日本橋で映画を観ていたのに、今この国に来ている。正直にいうとこの変化にまだ慣れていない。帰る直前まで、強い抵抗感があった。もちろん今でも、「帰ってよかった」という気持ちは全くない。だが、実際帰ったらさほど不愉快ではなかった。
スーツケースに日本料理の調味料をいっぱい詰め込んで中華は食べないと決めていたが、夜、父が勝手に中華料理を作ってくれて、この親心に口を挟めなかった。久しぶりの我が家の料理に美味しいと思った。実際私はそれほど中国を嫌っている訳ではなく、ただ意地を張ってきただけかもしれない。
インターネット検閲は上海から離れた時より厳しくなった。なんとヤフー日本の検索機能も使えなくなっている。のせいでいろいろ不便だった。グーグルなどは言うまでもない。当然のように使えないままだ。幸いなのは予め、NETFLIXから観たい番組をダウンロードしていたことだ。少なくとも、日常の一部は続いている。
ビザ申請を提出した後、母に付き合って市内をいろいろ回った。上海の街は相変わらず汚かった。埃っぽくて、日本の空気より汚れていた。物価はさらに高くなっていた。外食はほぼ東京と同じようになっている。しかし、給料は数年前のままで、とても暮らしづらいように見えて東京で暮らせる私はこっそりほっとした。
母との帰り道に、日本人の若者集団と出会った。彼らは全員マスクを掛けて、手に文庫本を持っていた。人混みの割に目立ってみえた。「上海へようこそ」と私は思わず大声で彼らに挨拶を送った。そして彼らの反応を待つことなく後にした。きっとびっくりしただろう、急に海外の街で見知らぬ人に自分の言葉で挨拶されて。
