上海游記

上海はどのような町なのかを聞かれた時、私はいつも「劣化版の東京」を答えてきた。全世界から資金や人々が集まる町で、コンビニと電車ベースのライフスタイルが特徴的なところでは、少なくとも東京と似ていると言えよう。しかし、東京を家にしてから数年が経ち、久しぶりに上海に行った私は上海という町を再認識し、1つの事実を確認できた。いくら戦前に東洋のパリと呼ばれていた上海でも、今では東京と同じ土俵にない。わが東京こそ、名実ともに東アジアの中心である。

チープな上海

上海に対して基本的にチープな印象が強い。戦前からあった建築や施設、日系デパートなどを除き、例えばお店の看板のデザイン、ないしそのネーミングにセンスを感じられない。場合によって、チープという表現よりも、下品な言葉が平気で使われていることもある。果物屋に安くて美味しそうな各種フルーツが並べられているけど、少し失礼だが、店員さんが食べ残した弁当も適当にレジのすぐとなりに放置されて不快感を覚えた。現地系の商業施設の出入口になぜかプラスチック製のカーテンらしきものが掛かっており、潔癖症を持つ妻と同行する際に大変だった。度々、私は先にカーテンをくぐり抜け、手でカーテンを抑えて妻を通すようにしていた。

高価な上海

上海の物価が高い。不動産の相場はまず東京より激しくて、現地の若者は通常自力でマンションを買うことができない。生活においても高く感じる時が多い。もちろん、それはあくまで上海に東京並みの生活を求める場合だけの話である。反日色が強い国の割に、日本の商品を取り扱っている店は思ったよりずっと普通に見かける。日本からの直輸入があれば、現地生産の同等品もある。値段について現地の収入水準に関係なく、為替レート換算で東京より高い。今回旅に出る直前まで忙しかったため、諸々準備不足のせいで、やむを得ずに妻と一緒に上海のドラッグストアで日本のアメニティグッズをたくさん調達した。

不況な上海

あくまで肌感覚だが、上海の景気状況はあまり良くないような気がした。インフラに強い国というイメージだったが、駅など、インフラの老朽化がかなり進んでいる。観光地のお店が必要以上に執拗に客引きをしており、恐怖ですら覚えてしまって逆に入店することができなかった経験もある。日本と比べて、お店の店員さんの数が客の数より多いという印象がある。暇そうで雑談している店員たちをよく見かけた。お店があまり在庫を抱えていないようだ。異なる店なのに、いざ気に入った商品を買おうとして、展示されているサンプルがラストワンであるシチュエーションは多発していた。

上海で電車の乗る時、改札に入る前に必ず保安検査を受けなければならない。具体的に、手持ちの荷物をすべてX線検査装置に乗せる必要がある。保安検査を担当する職員は2〜3人いる。ただの電車の利用なのに、全駅に保安検査が設けられており、市民に多大な不便を与えている。当然ながら、保安職員もNHK訪問員みたいに皆さんに嫌われる対象になっている。ある駅の新人らしき保安職員が特に印象的だった。20歳前後の若い女性で、きれいな顔つきをしていた。あんなきれいな子でも、こんな付加価値のない仕事をしているとは勿体ない。

活気を失った若者たち

10年前より上海の若者は明らかに元気を失っている。昔日本の若者より向こうのほうがより向上心を持って意欲が感じられるという話をよく言われていた。しかし、このわずかな取り柄でも、徐々に消え去っている。背景として、灼熱な受験戦争に就職難にあるではないだろうか。度が過ぎる競争で生き延びても、いざ大学を卒業する時に、多くの人は10万円前後の初任給しかもらえず、事務職に着くこと自体が難しいらしい。

青少年時代に勉強以外何もしていなかった上海の若者は常識がなく、同年代の日本人より振る舞いが幼く感じる。試験で点数を稼ぐのが上手でも、トータルで見たらやはりバランスよく人間性を磨いた日本の若者が健全で優秀だと思う。上海の若者は人として未熟であれば、せっかく打ち込んだ勉強も社会で実を結ばない哀れな人たちだ。

電気自動車

上海では電気自動車、いわゆるEVがすでに広く普及しているように見える。EVのナンバープレートに少し緑色が入っているため、従来の自動車とすぐ見分けすることができる。テスラ以外、ほとんどのEVが聞いたことのない中華メーカーによるものだ。ほぼノーブランド品に近いが、デザインが良さそうだし、タクシーとして利用する時に少し乗り込んだが、やはり内装もおしゃれで乗り心地が悪くない。長持ちかどうかが別として、少なくとも新車の状態では魅力的だと思う。EVに弱そうな日系メーカーはこれから売れなくなるかもしれないという生々しい肌感覚を覚えた。

タクシー

東京の市街地には常にタクシーが走っているため、乗りたい時にすぐ利用できる。そのため、私は東京で一度もUberのような配車アプリを利用したことがない。しかし、上海ではアプリなしに、もはやタクシーに乗ることができなくなったみたい。第一、アプリを使わないと、そもそもタクシーを拾えない。ほぼすべてのタクシーが「予約」状態になっている。これに関して便利そうに見えるが、実際かなり使いづらい。アプリへの登録、待ち合わせが必要などの手間がかかるのはもちろん、やってきたタクシーもほとんど素人が運転する白タクなので、安全面でも不安を感じる。事故が起きてから保険も入っていないことが発覚したケースもあるという。

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