東京を実家にしたい

かつて、私にも実家があった。それが高校の時、家庭の事情で生まれ育ったまともな住宅街からスラムみたいな街に引っ越した。その時点で、私には実家がなくなった。引越し先のすぐ隣が風俗店で何軒が並んでいた。騒がしくてその有様と来たらカオスと言えた。その汚らしい街に私はどうしても親しめなかった。

実家がないとなると、人は不安にかられ存在を失った感覚に陥る。居場所がないから、言葉で表現しにくい虚無感を覚える。人から「実家に帰らないの?」と聞かれる。相手はただの世間話のつもりでも、気持ちは切ない。

なぜ東京を実家にしたいのか。そこには色々な理由がある。まず、上海に住んだら分かるが、東京にはよく似たところがある。それに最初から私のライフスタイルと相性が良かったのを挙げよう。

そして、東京は入って来る者に寛容だから。東京には、生まれ育った人が少ない。大体が他所者である。更に言えば、外国籍だって結構居る。この多様性のある環境こそ、日本一差別と偏見の少ない場所ではないのか。大抵、大都市の懐は広いと言えるが、東京はその上に方言が弱いことも大事だと思う。大阪も都会には違いないが、まだ方言の壁がある。

私はどうしても人との関係に敏感で、多少でも差別を感じるとすぐ落ち込むタイプなのだ。こんな理由によって私はもはや東京という選択の他ないと思っている。実際、地方に住んでいた時よりずっと楽になった。皆さん誰でも新参者だから、お互いに軋轢することが少ない。

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