最近はすでに聞こえなくなっていますが、日本に移住してからの数年間にいわゆる「愛国問題」がしばしば家族や親戚に持ち出されていました。
皆さんは私に会うたびに口を揃えて「日本人に媚を売っても逆に尊敬されないぞ、母国を誇りに思うべし」と言っていました。つまり国やふるさとに愛を示さなければ、異国で他人の尊敬を貰えないということです。
この説は一見正論のように思えるのですが、実はただの誤謬に過ぎません。異国に移住するところか、長期間の滞在にメリットがありません。実体験にも反しています。
よく考えてください。日本人として、外国人に「日本料理はまずいよ。やはりふるさとの料理が一番だ」を言われたら良い気持ちになれますか?そこまでストレートではなくても、「日本料理がおいしいが、やはりふるさとの料理が一番口に合う」を言われてもさほど嬉しく感じないでしょう。
国レベルの話ではなく、日常的な話に例えると、他人の家を訪問することにしましょう。「お宅が狭いな、うちのほうが広い」と言い出す客はホストにどのように扱われるか容易に想像できます。一歩引いて、他人にリスペクトされても好かれることが難しいと思います。
母国を誇りに思うかどうかより、媚びないことのほうが大事ではないかと思います。媚びることが尊敬を失う原因になります。相手の機嫌を取るという目的のために敢えて母国を貶めたりするのが問題です。
では、私の個別事案においてはどうでしょうか。結論から言えば、私にこの件によって人に尊敬されるか否かとのことを気にしていないです。実務上、尊敬されたほうが多く感じています。
私の場合は、「母国」はすでに母国ではなくなっています。あくまで残響だという認識です。その残響と、思春期から徐々に形成させた日本人的な意識をあわせた独特なアイデンティティを持っています。日本が好きだからと言って、京都が好きではないことや納豆を食べないこと、相撲に興味ないことなど、素直にアピールしています。日本人に媚びたことが一度もありませんし、むしろ初期に平等の関係を得られず、けっこう口喧嘩していました。

