Apple MusicとAACに降参する

AACとHi-Resを区別できない私は、Apple Musicに降伏する。

よほど高級な設備を使い、適宜な環境でない限り、AACよりCDやHi-Resなどといったロスレスのほうが音質よく聞けたら、それは脳内補完であり、勘違いに過ぎない。私は長い間にこの事実から目を背けていた。

年始にワイヤレスイヤホンから有線に戻ってから、DAPとロスレスに関する脳内論争が絶えずに続いてきた。仕様上音質が限られているワイヤレスと違って、有線イヤホンで聞けば、Apple Musicが提供する256kbpsのAACは物足りなくなる可能性がでたからだ。

一方、実際ヨドバシでWalkmanを試聴してiPhoneと比べても僅差しか感じられなかった(詳細はこちら)。冷静に分析した上でWalkmanに別れを告げても、その未練は未だにかすかに残っている。

せめてiPhoneでロスレスを聞こうと努力してみた。自分がAACとHi-Resをはっきりに区別できると信じ込んでいた。例えば、最近よくシン・エヴァのBGMを聞いている。全部ではないけど、その一部のHi-Resバージョンも「冒頭10分40秒コマ」というタイトルで配信されている。中の4曲目「EM20 CH alterna edition 0706」、アレンジが少し違うかもしれないが、劇場版サントラの3曲目「euro nerv」とほぼ同じ曲なのに、音質が全然違う。前者が明らかにクリアで、音も少し大きい。それに対して、後者が曇るように聞こえて音質の悪さは明らかだ。

その違いについてずっとHi-Resの本領発揮として捉えてきたが、どうも違った。結論から言えば、その違いはおそらくマスタリングの段階でできたもので、決して再生側のフォーマットによって起こった現象ではない。試しにAppleの公式ツールを用いてそのHi-Resバージョンの曲をApple Digital Mastersに変換して聞いたら、そのクリア感は少しでも褪せていないことがわかった。Apple Digital Mastersではなくても、普通のAACに変換しても変わりがなかった。

逆に、CD音質の「euro nerv」を聞いてもそのまま曇っているのだった。この瞬間、私は確信した。昨今のオーディオ再生デバイスにとって、音質の決め手はむしろ録音やマスタリングなど、生産側にある。再生側=消費者側ができることはせいぜい適宜なイヤホンを用意するぐらいだ。オーディマニアに流されず、256kbpsのAACを堅持してきたApple社は実に実務的である。

音楽を大事に(=ロスレスで)保存することはもちろん今でも必要だと思うが、Apple Musicなどの圧縮音源をむやみに拒んできた自分はバカバカしく思えた。区別できなければ、便利な方で聞けば良い。手持ちのアンプももはや不要ではないかと処分を検討している。

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