月曜日早々、現地拠点を訪ねてオフィスに入ろうとしたら普通に断られた。先日電話で交渉していた時に、「共用スペース」だったら利用可能を言われた時に、私は明るいフリーアドレスのオフィスをイメージしていた。現地に着いて、蓋を開けたらどうもその「共用スペース」はボロボロな休憩エリアだった。現地オフィスは固定席を採用しており、私に裾分けできる席はどこにもない。
この時点で私の海外散歩計画は破綻してしまった。頑張って休憩エリアで作業してみたが、目立つし、うるさくて会議がまずできない。「休憩エリアになんか変な外国人がいる」という噂が立つ前に、海外オフィスを断念し、次の会議を始まる前に急遽作業スペースの確保に走った。幸い1日2,000千円程度という比較的に安価なコアワーキングスペースを見つけられ、契約することができた。それで一旦目の前の仕事を凌いだ。
コアワーキングスペースを確保できたとはいえ、現地時間の9時から19時のみ使用可能という決まりがあり、日本時間に換算すると昼から出勤することになってしまうし、夜中まで作業することもできない。1日2日で我慢できても1週間続いたら危険すぎる。翌日、たまたま予定された会議が全部キャンセルされ、その場で踏み切って帰国することを決めた。会議がなくなったが、日本時間の夕方に提出しなければならない作業があり、わりとリスキーな決断だった。
荷造り、チェックアウト、空港への移動と出国手続き、搭乗口にたどり着いた時にすでに数時間をロスしてしまい、搭乗時間まで2時間弱しか残っていなかった。早速作業に着手してもなかなか進捗せず、搭乗まで終えそうになかった。そんな危機一髪なタイミングで、機内WiFiのことを思い浮かべた。カウンターのスタッフに機内WiFiがあることを確認できたら、一旦作業をやめ、必要な資料を予めハードディスクにダウンロードすることに専念した。そして搭乗のギリギリまで粘ってノートパソコンを充電しておいた。
事前チェックインの時でも申し込めるみたいけど、自分の場合は離陸してから座席の端末から機内WiFiを申し込んだ。5MB、100MB、300MBと無限という800円から7,000円まで4つのオプションがある。必要な資料を予め用意したので、機内WiFiの利用はメール送付に限るし、300MBも考えてみたけど、やはり今どきのデバイスには300MBが少なすぎて危険すぎる。思い切って無限のオプションに課金した。これは大正解だった。ダウンロードし忘れた資料もあったし、上司とのチャットでのディスカッションもあった。
外付けモニターがなく、マイスすら使うスペースのないエコノミークラスの狭い席で落ち着いて作業することができた。タッチパッドを使って案外精密な操作もできたし、通信速度が遅めだが、確実にインタネットに繋がっている安堵感、その時の私にはこの機内WiFiは7,000円以上の価値があった。成果物を上司に送り、さらにチャットでディスカッションできてついに仕事は一段落が付いた。私はノートパソコンを閉じてリュックに仕舞って窓の外を眺めた。

